デスクワークやリモートワークが続き、肩や首のこわばり、目の疲れ、足の重さなどを感じていませんか。寝る前に自分の手で身体へやさしく触れることは、緊張した気分を落ち着かせ、ゆったりと過ごすきっかけになる場合があります。
ただし、セルフマッサージだけで疲労が解消したり、睡眠の質が必ず向上したりするわけではありません。感じ方や体調には個人差があります。
この記事では、特別な道具を使わずにできる4つのセルフケアと、安全に行うための注意点を紹介します。痛みやしびれ、強い腫れなどがある場合は無理に行わず、必要に応じて医療機関へ相談してください。
寝る前のマッサージが疲れを感じる日に取り入れやすい理由
寝る前のセルフマッサージは、身体の不調を治療するものではありません。一方で、心地よいと感じる範囲で身体に触れることは、就寝前に落ち着いて過ごすための習慣として取り入れやすい方法です。
ここでは、寝る前のセルフケアとして取り入れやすい理由を3つ紹介します。
心身をリラックスしやすい状態にするため
仕事や家事が終わった直後は、考え事が続いていたり、身体に力が入っていたりすることがあります。そのようなときに手のひらで身体をやさしくさすると、手の温かさやゆっくりとした動きに意識を向けやすくなります。
呼吸を止めずに行うことで、就寝前の気持ちを切り替える時間にもなるでしょう。ただし、セルフマッサージによって自律神経が必ず整う、寝付きが必ず良くなるといった効果は保証できません。
あくまで、自分が心地よいと感じるリラックス方法の一つとして取り入れることが大切です。
こわばりを感じる部位にやさしく触れられるため
長時間同じ姿勢で過ごした後は、首や肩、ふくらはぎなどにこわばりや重さを感じることがあります。そのような部位を手のひらで軽くさすったり、指の腹でやさしく触れたりすると、一時的に温かさや心地よさを感じる場合があります。
ただし、強い刺激を加えても効果が高まるわけではありません。押すと痛い場所や、腫れ、熱っぽさがある場所には触れず、無理のない範囲で行いましょう。
就寝前の過ごし方を整えるきっかけになるため
寝る前に毎日同じような行動を取り入れることは、仕事や家事の時間から休息の時間へ気持ちを切り替えるきっかけになります。
たとえば、照明を少し暗くする、スマートフォンを置く、深呼吸をする、短時間のセルフマッサージを行うといった流れです。
セルフマッサージだけに頼るのではなく、睡眠時間や寝室の環境、入浴のタイミングなども含めて見直すことが重要です。
疲れを感じる日に寝る前のマッサージを行うための準備
セルフマッサージを行う際は、身体に強い刺激を加えることよりも、落ち着いて過ごせる環境を整えることが大切です。ここでは、寝る前に取り入れやすい3つの準備を紹介します。
就寝の1~2時間前を目安に入浴する
入浴によって身体が温まり、その後に熱が放散されることは、寝付きやすい状態をつくるための一つの方法とされています。
入浴する場合は、就寝の1~2時間前を目安に、熱すぎないお湯へ無理のない時間だけ浸かりましょう。適した温度や時間は、体調、年齢、持病、浴室の環境などによって異なります。
熱いお湯への長時間の入浴は、身体への負担や寝付きにくさにつながる可能性があります。入浴中に息苦しさ、動悸、めまいなどを感じた場合は、すぐに浴槽から出てください。
持病がある方、妊娠中の方、入浴による体調変化が心配な方は、医師などに確認したうえで行いましょう。
部屋の照明を少し暗くする
就寝前に明るい光を浴び続けると、睡眠と覚醒のリズムに影響することがあります。夜は天井の明るい照明を避け、生活に支障がない範囲で照明を暗くするとよいでしょう。
間接照明を使う場合も、明るすぎないように調整します。ただし、暗くしすぎると転倒する危険があります。移動が必要な場合や高齢の方は、足元灯などを活用し、安全を優先してください。
スマートフォンの使用時間を減らす
スマートフォンやタブレットの画面から出る明るい光を就寝前に浴びると、寝付きに影響する場合があります。また、動画やSNS、仕事の連絡などによって気持ちが高ぶり、眠る準備が遅れることもあります。
寝る前は、次のような工夫を取り入れてみましょう。
- 就寝時刻の少し前にスマートフォンを置く
- アラームや翌日の予定を早めに確認する
- 寝室へ持ち込まない
- 通知を切る
- 使用する場合は画面を暗くし、短時間で終える
画面を暗くするだけで影響を完全に防げるわけではありません。可能な範囲で、画面を見る時間そのものを減らすことが大切です。
寝る前に無理なくできる部位別のセルフマッサージ
ここからは、ベッドや椅子の上で行える4つのセルフケアを紹介します。いずれも治療を目的としたものではありません。
強く押したり、痛みを我慢したりせず、「やさしく触れると心地よい」と感じる範囲で行ってください。
指の腹で頭皮へやさしく触れる
パソコンやスマートフォンを長時間使用した日は、頭や目の周辺に重さを感じることがあります。そのようなときは、目やこめかみを強く押さず、指の腹で頭皮へやさしく触れてみましょう。
手順は次のとおりです。
- 両手の指の腹を、側頭部の髪の生え際付近に当てる
- 皮膚を強くこすらず、小さな円を描くようにゆっくり動かす
- 指の位置を少しずつ頭頂部や後頭部へ移す
- 最後に、耳の後ろから首の付け根付近を手のひらで軽くさする
爪を立てたり、目の周りやこめかみを強く押したりしないでください。
突然の激しい頭痛、手足のしびれ、ろれつが回らない、意識がもうろうとするなどの症状がある場合は、セルフマッサージを行わないでください。速やかに医療機関へ相談し、症状が強い場合は救急要請を検討しましょう。
首から肩を手のひらでやさしくさする
長時間同じ姿勢で作業していると、首や肩にこわばりを感じることがあります。首は神経や血管などが通る部位であるため、前側や横側を強く押さず、肩の上部や首の後ろを中心にやさしく触れることが大切です。
次の手順で行いましょう。
- 右手を左肩の上に置き、首の付け根から肩先へ軽くさする
- 指の腹や手のひらで、小さくゆっくり動かす
- 反対側も同様に行う
- 最後に両手で肩を包み、ゆっくり息を吐く
首の骨を直接強く押したり、首を大きく回しながら押したりしないでください。
首や腕に強い痛み、しびれ、力の入りにくさ、めまいなどがある場合は中止し、医療機関へ相談しましょう。
足裏を手のひらや親指で軽く押す
足の裏を手のひらで包んだり、親指で軽く押したりすることは、足元へ意識を向けて落ち着くための方法として取り入れられます。
次の手順を参考にしてください。
- 安定した姿勢で座り、片方の足を無理のない位置に置く
- 足裏全体を両手で包み、手の温かさを感じる
- かかと、土踏まず、指の付け根の順に軽く押す
- 最後に足の指を1本ずつやさしく動かす
- 反対側も同じように行う
ツボや反射区を強く押しても、内臓や全身の不調が改善するとは限りません。特定の効果を目的にするのではなく、心地よさを感じる範囲で行いましょう。
傷、皮膚の炎症、強い腫れ、骨折や捻挫が疑われる場合は行わないでください。糖尿病などによって足の感覚が低下している方は、自己判断で強い刺激を加えず、医師へ相談することが大切です。
ふくらはぎを手のひらで軽くさする
立ち仕事や座り仕事が続いた日は、ふくらはぎに重さを感じることがあります。両手で強くもむのではなく、皮膚の表面へやさしく触れる程度にしましょう。
手順は次のとおりです。
- 楽な姿勢で座り、片脚を軽く曲げる
- 両手で足首付近を包む
- 足首から膝の手前まで、手のひらでゆっくりさする
- 同じ動きを数回行う
- 反対側も同様に行う
膝の裏のくぼみは、血管や神経などが通る部位です。流れを良くしようとして強く押さないでください。
また、片脚だけに急な腫れ、痛み、熱っぽさ、赤み、皮膚の色の変化がある場合は、マッサージを行わず、早めに医療機関へ相談しましょう。
これらの脚の症状に突然の息苦しさや胸の痛みを伴う場合は、直ちに119番通報するなど、救急受診してください。
寝る前のマッサージを安全に行うための注意点
寝る前のセルフマッサージは、強く刺激するほど良いわけではありません。身体の状態によってはセルフケアを控え、医療機関への相談が必要な場合もあります。
強い力で押さない
寝る前は、痛みを我慢するような強さで押さないようにしましょう。強い刺激を続けると、皮膚の赤み、内出血、筋肉痛のような痛みなどが生じる可能性があります。
特に首、膝の裏、脇、脚の付け根(鼠径部)などは強く押さないでください。力加減は「痛気持ちいい」よりも弱く、「触れていて心地よい」と感じる程度を目安にします。
刺激後に痛みが残る場合は、次回からさらに弱くするか、セルフマッサージを控えましょう。
痛みや腫れがある場所には触れない
痛みがある理由は、筋肉の疲れだけとは限りません。けが、炎症、神経の圧迫、血管の病気などが関係している場合もあります。
次のような状態がある場合は、その場所へのセルフマッサージを中止してください。
- 触れなくても強く痛む
- 急に腫れた
- 赤みや熱っぽさがある
- しびれや力の入りにくさがある
- 転倒や衝突の後から痛む
- 症状が徐々に強くなっている
痛みのある場所の周囲であっても、原因が分からない状態では無理に触れない方が安全です。
症状が強い場合や悪化している場合は、数日間様子を見ずに医療機関へ相談してください。軽い症状であっても、続く場合や日常生活に支障がある場合は受診を検討しましょう。
長時間続けない
セルフマッサージの適切な時間には個人差があり、長く行えば効果が高くなるものではありません。
初めは1か所につき1~2分程度から始め、全体でも5~10分ほどを目安にすると続けやすいでしょう。皮膚が赤くなったり、腕や手が疲れたりした場合は、時間にかかわらず終了してください。
毎日行う必要もありません。体調や生活リズムに合わせて、心地よく続けられる頻度を選びましょう。
体調によってはセルフマッサージを控える
次のような場合は、セルフマッサージを控えるか、事前に医師などへ確認してください。
- 発熱している
- 皮膚に傷、炎症、感染症がある
- 骨折や捻挫などのけがが疑われる
- 原因の分からない痛みや腫れがある
- 抗凝固薬・抗血小板薬など、血液を固まりにくくする薬を服用している
- 出血しやすい状態にある
- 手術後や治療中である
- 妊娠中で、体調や刺激について不安がある
飲酒直後や体調が悪いときも避け、休息を優先しましょう。
寝る前のマッサージと一緒に取り入れたい習慣
睡眠は、セルフマッサージだけで決まるものではありません。寝室の光や温度、睡眠時間、食事、運動、カフェインやアルコールなど、さまざまな要素が関係します。
マッサージは、就寝前の過ごし方を整える方法の一つとして考えましょう。
無理のない深呼吸で気持ちを落ち着かせる
セルフマッサージの前後にゆっくり呼吸すると、身体の感覚へ意識を向けやすくなります。
次の手順を参考にしてください。
- 椅子やベッドの上で楽な姿勢になる
- 肩やあごの力を抜く
- 鼻から無理なく息を吸う
- 口または鼻から、吸う時間より少し長めに息を吐く
- 苦しくない範囲で数回繰り返す
息を長く止めたり、できるだけ多く吸い込もうとしたりする必要はありません。めまいや息苦しさを感じた場合は、すぐに普段の呼吸へ戻してください。
就寝前のカフェインや飲酒を控える
コーヒー、緑茶、紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、摂取する量や時間帯によって寝付きに影響する場合があります。
カフェインの影響を受けやすい方は、夕方以降の摂取量を減らしてみましょう。
また、眠るためにお酒を飲むと一時的に眠気を感じることがありますが、夜中に目が覚めたり、睡眠による休養感が得にくくなったりする場合があります。寝酒を習慣にするのは避けることが大切です。
寝る前に喉が渇いた場合は、白湯や水などのカフェインを含まない飲み物を少量飲む方法があります。ただし、白湯を飲むことで睡眠の質が必ず高まるわけではありません。
飲みすぎると夜中にトイレで目が覚めることもあるため、量を調整しましょう。
まとめ|寝る前のマッサージは心地よい範囲で取り入れよう
寝る前のセルフマッサージは、仕事や家事から休息の時間へ気持ちを切り替える方法の一つです。頭皮、首や肩、足裏、ふくらはぎなどへやさしく触れることで、温かさや心地よさを感じる場合があります。
ただし、疲労の解消、肩こりや冷えの改善、睡眠の質の向上、翌朝の目覚めなどを保証するものではありません。強く押さず、痛みや腫れがある場所を避け、短時間で終えることが大切です。
特に、片脚だけの急な腫れや痛み、突然の激しい頭痛、しびれなどがある場合は、セルフマッサージをせず医療機関へ相談してください。脚の症状に突然の息苦しさや胸の痛みを伴う場合は、直ちに救急受診が必要です。
寝付きの悪さ、日中の強い眠気、休んでも取れない疲労感などが続く場合には、睡眠障害やほかの病気が関係している可能性もあります。セルフケアだけで対処しようとせず、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。
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