しっかり眠ったつもりなのに、朝から体が重い、だるさが残ると感じることはありませんか。
疲れが取れない理由は、睡眠不足だけではありません。仕事や人間関係のストレス、運動不足、食生活、睡眠の質など、さまざまな要因が関係します。貧血や甲状腺疾患、睡眠時無呼吸、心身の不調などが隠れている場合もあるため、疲れをすべて「自律神経の乱れ」と判断しないことが大切です。
この記事では、疲労感と自律神経の関係を解説したうえで、首・肩・お腹・手足をやさしくほぐすセルフケア方法を紹介します。セルフマッサージは疲労の原因を治療するものではありませんが、気分転換やリラックスする時間をつくる方法として取り入れられます。
寝ても疲れが取れない原因は自律神経だけではない
睡眠をとっても疲れが取れないときは、複数の原因が重なっている可能性があります。
- 睡眠時間が足りていない
- 眠りが浅い、夜中に何度も目が覚める
- 仕事や人間関係によるストレスが続いている
- 食事量や栄養バランスが偏っている
- 運動不足や長時間同じ姿勢で過ごしている
- いびきや睡眠中の呼吸の乱れがある
- 貧血や甲状腺疾患などの体調不良がある
- 不安感や気分の落ち込みが続いている
疲労感は、生活習慣だけでなく病気によって現れることもあります。原因が分からない疲れが数週間続く場合や、仕事・家事などの日常生活に支障が出ている場合は、セルフケアだけで様子を見続けず、医療機関への相談を検討しましょう。
ストレスと自律神経の関係
自律神経は、自分の意思とは関係なく、心拍、血圧、体温、消化などを調整している神経です。活動時に働きやすい交感神経と、休息時に働きやすい副交感神経があります。
強いストレスや緊張が長く続くと、寝つきの悪さ、肩や首の緊張、胃腸の不調、動悸などが現れることがあります。ただし、これらの症状だけで自律神経の状態を判断することはできません。
「自律神経を整える」という言葉は一般的に使われていますが、セルフマッサージで自律神経の状態や病気を治療できるわけではない点を理解しておきましょう。
セルフマッサージに期待できること
やさしく体に触れたり、こわばった筋肉を無理のない範囲でほぐしたりすることで、気持ちが落ち着く、体の緊張が和らいだように感じる場合があります。
セルフマッサージに期待できるのは、主に次のような役割です。
- 仕事や考え事から意識を切り替える
- 首や肩などの筋肉をやさしく動かす
- 自分の体調に目を向ける時間をつくる
- ゆったりした呼吸と組み合わせて気持ちを落ち着かせる
効果の感じ方には個人差があります。疲労の原因を取り除くものではなく、睡眠の質や体調の改善を保証するものでもありません。
疲れを感じるときに行う4部位のセルフマッサージ
セルフマッサージでは、強く揉む必要はありません。痛みを我慢せず、「心地よい」と感じる程度の力で行いましょう。
首・後頭部をやさしくほぐす
パソコンやスマートフォンを長時間使用していると、首の後ろや後頭部付近に緊張を感じることがあります。
- 椅子に座り、肩の力を抜きます。
- 両手の指先を、首の後ろと後頭部の境目付近に軽く当てます。
- 頭を支える程度の弱い力で、3秒ほど触れます。
- 手の位置を少しずつ変えながら、数回繰り返します。
- 最後に、首を左右へゆっくり傾けます。
首の前側や横側には重要な血管や神経があるため、強く押したり、筋肉をつまんだりしないでください。動作中に痛み、しびれ、めまい、吐き気などが現れた場合は、すぐに中止しましょう。
肩まわりの緊張をゆるめる
肩まわりは、長時間同じ姿勢を続けることでこわばりやすい部分です。
- 右手を左肩に置き、肩の上を手のひらでやさしく包みます。
- 呼吸を続けながら、軽く握って離す動作を数回行います。
- 反対側の肩も同じように行います。
- 両肩をゆっくり上げ、2〜3秒保ってから力を抜きます。
- 肩を前後にゆっくり回します。
強く揉むほど効果が高まるわけではありません。翌日に痛みが残るような強さは避け、心地よい範囲にとどめましょう。
お腹に手を当ててゆっくりさする
お腹に温かい手を当て、ゆっくり呼吸することで、気持ちが落ち着く方もいます。
- 仰向けになるか、背もたれのある椅子に座ります。
- 両手を重ねて、おへその周辺に軽く置きます。
- 皮膚の表面をなでる程度の弱い力で、ゆっくり円を描きます。
- 30秒から1分程度を目安に行います。
食後すぐや、腹痛、吐き気、発熱があるときは避けてください。妊娠中、腹部の病気で治療中の方、腹部の手術を受けた方は、自己判断で強く押さず、必要に応じて医療機関へ確認しましょう。
手足を軽く押して気分転換する
東洋医学では、手の甲にある合谷や、足の甲にある太衝などのツボが用いられます。ただし、ツボ押しによって自律神経や病気が改善するという効果が確立されているわけではありません。
- 合谷:手の甲側にある、親指と人差し指の骨が交わる手前付近を、反対の親指で軽く押します。
- 太衝:足の甲にある、親指と人差し指の骨が交わる手前付近を、親指で軽く押します。
それぞれ3秒ほど押して離す動作を、左右数回ずつ行います。痛みを感じるほど強く押す必要はありません。傷、腫れ、皮膚の炎症がある場所は避けてください。
セルフマッサージを行うタイミングと環境
セルフマッサージに、厳密な実施時間はありません。帰宅後、入浴後、就寝前など、自分が落ち着いて取り組める時間を選びましょう。
- 寒すぎたり暑すぎたりしない場所で行う
- 締め付けの少ない服装で行う
- テレビやスマートフォンから一度離れる
- 照明を少し落とし、落ち着ける環境をつくる
- 香りを使う場合は、刺激が強すぎないようにする
アロマオイルなどの香りは必須ではありません。香りによって頭痛、吐き気、咳などが出る場合もあるため、不快に感じるときは使用を中止してください。
ゆったりした呼吸を組み合わせる
マッサージ中にゆったりとした呼吸を続けると、心身を落ち着かせる時間をつくりやすくなります。
- 楽な姿勢をとり、肩の力を抜きます。
- 口からゆっくり息を吐きます。
- 無理のない範囲で鼻から息を吸います。
- 吸う時間よりも、吐く時間を少し長めにします。
- 5回程度繰り返します。
長く息を止める必要はありません。息苦しさやめまいを感じた場合は中止し、普段の呼吸に戻してください。
3分で取り入れるセルフケアの例
長時間行うことよりも、自分が負担に感じない方法を選ぶことが大切です。次のように、合計3分程度の短いセルフケアから始められます。
- 1分目:肩を軽く握って離し、前後へゆっくり回します。
- 2分目:手や足を軽く押し、手のひらや足先をやさしくさすります。
- 3分目:お腹に手を当て、ゆっくり息を吐きます。
毎日必ず行う必要はありません。体調が悪い日や痛みがある日は休み、睡眠、食事、運動、仕事量なども含めて生活全体を見直しましょう。
疲労が続くときは仕事や生活の負担も見直す
疲労感が強い場合は、マッサージだけでなく、休息時間や仕事量、人間関係によるストレスなどを見直す必要があります。
燃え尽き症候群は、適切に管理されていない慢性的な職場ストレスに関連する状態です。単なる疲れが必ず燃え尽き症候群につながるわけではなく、セルフマッサージだけで予防できるものでもありません。
仕事への強い疲労感、意欲の低下、仕事から距離を置きたい感覚などが続く場合は、一人で抱え込まず、上司、人事担当者、産業医、医療機関などに相談することも検討しましょう。
セルフマッサージを避けたほうがよいケース
次のような場合は、セルフマッサージを控えるか、事前に医療機関へ相談してください。
- 発熱や強い倦怠感がある
- 皮膚に傷、炎症、腫れがある
- 原因の分からない強い痛みがある
- 手足のしびれや力の入りにくさがある
- けがをした直後である
- 血栓症や骨の病気などで治療を受けている
- 持病や服薬について、マッサージを行ってよいか分からない
セルフマッサージによって症状が強くなる場合は、無理に続けないでください。
疲れが取れないときに医療機関へ相談する目安
疲れにはさまざまな原因があるため、次のような状態がある場合は、セルフケアだけで対処せず医療機関への相談を検討しましょう。
- 原因が分からない疲れが数週間続いている
- 疲労感によって仕事や家事が難しくなっている
- 動悸、息切れ、めまいが繰り返し起こる
- 食欲低下や意図しない体重減少がある
- 強いいびきや睡眠中の呼吸停止を指摘された
- 日中に耐えられないほどの眠気がある
- 気分の落ち込みや意欲の低下が続いている
- 手足のしびれ、感覚の異常、力の入りにくさがある
まずは内科やかかりつけ医に相談すると、症状に応じた検査や診療科の案内を受けられます。不安感や気分の落ち込みが強い場合は、心療内科や精神科への相談も選択肢です。
突然の強い胸痛、会話が難しいほどの息苦しさ、意識がもうろうとするなどの症状がある場合は、セルフマッサージを行わず、速やかに救急要請を検討してください。
疲れが取れないときは無理のないセルフケアから始めよう
睡眠をとっても疲れが取れない原因は、自律神経だけではありません。睡眠の質、生活習慣、仕事の負担、心身の病気など、複数の原因が関係する可能性があります。
首・肩・お腹・手足をやさしくほぐすセルフマッサージは、気分転換やリラックスする時間をつくる方法のひとつです。強く押さず、痛みや不快感がない範囲で行いましょう。
疲労が長引く場合や日常生活に影響が出ている場合は、「自律神経の乱れだろう」と自己判断せず、医療機関で原因を確認することが大切です。
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